20 Sepアントワン・フィッシャー:きみの帰る場所(映画評)

この映画がアメリカで2002年に公開されたとき、私はアトランタの映画館でみていた。市の中心部に比較的近い場所にある映画館で、観客は黒人と白人がほぼ半数ずつぐらいのだった。映画が終わると同時に、白人の男性が、「ブラボー!!デンゼル・・・」とか言って、スタンディングオベーションしている様子がちょっと印象的だった。通常、このように登場人物の全てが黒人であるような映画を、白人は見ない。それ以前の問題として、白人が住んでいる地域にある映画館で公開されない。だが、人種に関係なく受け入れられるののは、さずがにデンゼルだなと、思わざるをえない内容になっている。

ところでこの映画は、パンケーキに始まって、パンケーキで終わる。家族で食卓を囲み、伝統的なソウルフードがテーブルに美しく並べられる。このような象徴的なシーンで、映画はお決まりのハッピー・エンドで締められるのだが、ディナーの主役はパンケーキなのだ。パンケーキは通常、朝ごはんとして食べられるものなので、ディナーの食卓に並ぶことは一般的に言えば稀だ。ディナーのゲストの大好物が、パンケーキであると時前に分かっていれば、多少が状況は違ってくるかもしれないが。。。

なぜパンケーキが主役なのかは、アントワーンが自分の生い立ちを精神科医に語っている中で、短く語られている。朝起きて、グリッツとエッグ(字幕ではグリッツはオートミールと訳されていたが、グリッツとオートミールは別物だ)の匂いがしたら、一日中憂鬱だけれでも、パンケーキだったらOKなのだそうだ。なぜパンケーキだとOKなのかは、語られなかったが、パンケーキがグリッツや目玉焼きよりも、手間のかかる料理だからだろうか。。。おそらく、パンケーキはOKでグリッツはNG、その価値観を共有できる何かであるのだと思う。

このように、映画の中で何か象徴的なものを食べ物で表現できるのは、南部料理がしばしばソウルフードと呼ばれることと無関係ではない。中でも、コーンブレッドとパンケーキは、圧倒的に登場回数の多い名役者のような気がする。ビスケットやスコーンやマフィンも同じようによく食べられているのだが、パンケーキに比べると何か弱いような気がする。ともかく南部の人は、パンケーキとコーンブレッドが好きだ。最もその食べ方をみていると、パンケーキそのものよりも、シロップが好きなんじゃないかと思うような人もかなり多いのだが。。。

—–映画詳細—-
アントワン・フィッシャー:きみの帰る場所(2002年アメリカ)
Wikipedia

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One Response to “アントワン・フィッシャー:きみの帰る場所(映画評)”

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